家計簿をつけることに対して「意味あるの?」と感じている方に向けて、目的・効果・続けるポイントをわかりやすく解説し、無理なく続けられる家計管理の第一歩をサポートすること。
はじめに|「家計簿をつける意味って?」の問いから始めよう
「そもそも、なぜ家計簿って必要なの?」——この素朴な疑問に対して、明確に答えられる人は意外と少ないかもしれません。
家計簿を始めたものの、三日坊主で終わってしまったり、記録そのものが目的化してしまい疲れてしまったり……そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、家計簿の本質は“記録”ではなく“家計の見える化”、“支出の最適化”にあります。
何をどのように工夫すれば家計は改善されるのか?それを知るためには家計の支出の傾向を把握すること=家計簿の活用が大前提だと考えています。
この記事では家計簿を活用した家計管理の導入として、「家計簿をつける目的」「挫折しないための考え方」について、公的データや筆者の実体験をもとに解説します。
老後の生活を見据えて「今」を記録するという視点を持つ
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2020年度」によれば、65歳以上の無職世帯の平均消費支出はおよそ月23.1万円です。これを年間に換算すると約277万円になります。
一方で、老齢基礎年金の受給額は月額約6.6万円(年間約80万円)とされており、残りの月16.5万円(年間で197万円)は自助努力で用意する必要があります(人事院|年金制度の概要)。
※老齢厚生年金は計算に含まれておりません。
これらより多くの家庭の場合、公的年金だけで今現在のような生活水準を維持するのは難しいことが分かります。老後の長生きリスクには公的年金+貯蓄(個人資産)での対応が必須であり、家計簿は「支出の見える化」や「効率的な資産形成」をサポートしてくれるパートナーのようなものと考えています。
老齢厚生年金とは?
年金支給額シミュレーター
※これはあくまでも概算です。正確な金額は年金定期便、ねんきんネットで確認でご確認ください。
「家計簿=ストレス」になってしまう理由
家計簿と聞くと、以下のようなネガティブな印象を持ってしまう方も少なくありません。
- 「続かない」
- 「時間がかかる」
- 「どうせつけても意味ない」
実際、家計簿を始めた人の多くが、最初の1ヶ月以内に挫折したという調査もあります。
「今日もまたレシートを入力できなかった……」
「週末にまとめてやろうと思っていたのに忘れていた……」
家計をより良くするための手段であるはずの家計簿が、いつの間にか「つけなければならないもの」として目的化してしまうことは少なくありません。
実際、多くの人が同じように途中で挫折を経験しています。あなただけではありません。
そう感じるのも無理はないのです。家計簿をつけるという行為には、思いのほか時間と管理の手間がかかります。
特に仕事や家事に追われる共働き世帯にとっては、毎日欠かさず記録を続けるのはとても難しいものです。
むしろ、続かなくて当たり前。まずはそのことを受け入れるだけでも、家計管理のハードルはぐっと下がるはずです。
続かないのは当然?挫折の理由は“時間と手間”だった
家計簿が続かないのは、あなただけではありません。実際、PFUが2023年に実施した調査によると、家計簿をつけたことがあるものの現在はやめてしまった人のうち、70.3%が「面倒くさくなるから」と答えています。
その他の理由には、「忙しくてつけるのを忘れてしまう(40.9%)」「時間がなくてあきらめてしまった(34.8%)」など、時間や労力へのハードルが多く挙げられています。
こうした課題に対して、当ラボでは家計簿の継続を目的とした“自動化・仕組み化”を強く推奨しています。
具体的には、家計簿アプリを活用して、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどと連携し、日々の支出を自動で取り込む仕組みを整えることで、記録の手間を大幅に軽減できます。
「忙しくても続けられる家計簿」を実現するには、手間のかかるアナログ管理にこだわるのではなく、手間なく続けられる環境を整えることが何より重要だと考えます。
まとめ|家計簿は未来の自分へのメッセージ
- 家計簿の目的は“記録”より“可視化”にある
- 老後の資金計画は今の年間支出の把握から始まる
- 家計簿では「変動費」を優先的にモニタリングすべき
- 続かない原因は完璧主義と目的の曖昧さにある
- まずは変動費だけ、完璧でなくていい記録習慣を
家計簿は、今の自分が未来の自分へ送るメッセージのようなものです。
どんな生活をして、どこにお金を使い、どんな価値観で生きていたか。それを知ることで、未来の判断がしやすくなります。
毎日きっちりつける必要はありません。変動費だけでもいいし、週に1回まとめてでもかまいません。
大切なのは「数字で生活を見える化する」という習慣です。
家計簿を通して、自分自身の暮らしと向き合い、未来に安心を積み上げていきましょう。
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